ALUMNAEの活躍を知る VOL.3

 

ラウリア佳子さん(64回生)

宮代会会長

2019年6月10日

「頼み事は忙しい人に頼め」という言葉にあるように、宮代会会長としても多忙なラウリア佳子さんは、東大病院緩和ケア診療部部長秘書のお仕事も続けていらっしゃいます。どんな事にも興味を持たれ、面白がり、それを自身の中の学びや活力になさるバイタリティーの源はどこにあるのか?インタビューを通して垣間見えるお人柄は明るく快活。そして暖かさに溢れていらっしゃいました。

 

 

 

ラウリア佳子 みこころ会64回生

 

聖心女子大学文学部哲学科卒業。スペインのマドリッドに留学。

帰国後、スペインへの留学コーディネーター、通訳として働く。

その後、ご実家の築地仲卸の経営の手伝い、イタリアンレストランのオーナーなどを経て、

2014年から東大病院緩和ケア診療部部長秘書職に。

2018年より聖心女子大学同窓会 宮代会会長

 

 

どんな場面でも「面白い」と感じられる幸せが原動力かも知れません

―― 宮代会会長になられる前にはどんなお仕事をなさっていらしたのですか?

ラウリアさん(以下敬称略) 何か一つの仕事を長くしていたわけではないんです。いつもご縁のようなものに恵まれてどの仕事も働いているうちに面白い!といつしか全力で取り組んでしまうんです。5年前から続けている東大病院の秘書の仕事も三光町時代の友人からの紹介だったのですが、事務の仕事はしたこともなかったのに「なんとかなるかな?まずはやってみよう!」と引き受けてみたんです。緩和ケアの研究って、年をを取って鈍くなる動きをサポートするパワースーツのような工学の分野から、新薬の研究のような医学寄りのことまで、あらゆるところにアンテナを張っているんです。私はお手伝いをしているだけですけれど、家の中にいたら触れ合えないような経験や最新の知識が耳に入ってくるだけでもとっても楽しい。

 

―― 大学卒業後から今に至るまでを順を追ってお話いただけますか?

 

ラウリア 大学を卒業してからスペインのマドリッドに留学をしまして、そこで3年間スペイン語を学びました。スペイン語との出会いは三光町で仲良しだった友人がお父様の転勤でメキシコに行き、高校3年生の時に彼女の家に遊びに行ったのが最初でした。大学では哲学を専攻したのですが、もっとスペイン語を勉強したいと、知り合いの清泉のシスターに、どこの大学院が良いかご相談したところ、「そんなのスペインに行くのが一番よ!」「そりゃ、そうだわ!」と(笑)。

 留学で得たもので一番大きかったのは、日本にいたら色んな意味で守られてしまいますが、スペインでは自分一人で一切をしなければならない。頼れるのは自分だけということでした。どこどこのおうちのお嬢さんだとか、どこの学校の出身というものが無い「私はこういう人」というのをしっかり自覚して、さらにそれを人に解らせる努力をしなければならない、自己表現の大切さを学びました。

 帰国後は、スペイン留学の経験のある人がまだそんなに多くなかった時代なので、これからスペイン留学を考えている人、企業派遣でスペインへ行く人などに、語学を教えるだけでなく留学のコーディネートをしていました。ところが、その頃父がくも膜下出血で倒れたんです。うちの実家は築地で4代続く仲卸を営んでいるのですが、まだ弟は跡を継ぐには小さかったものですから、急遽母と私が家業を手伝うことになりました。もちろん会社の方々に支えられてですけれど、長靴を履いて朝からお店に立って働いていました。これがとっても楽しかった!男の世界なので、バカにされるかと思いきや、若い女の子でしたし(笑)かわいがられたんです。個に目覚めたスペイン時代とは真逆ですけれど、父の状況も良くわかってくれて、その娘ということで昔からのつながりのありがたさを感じながらのびのびと働けたことは幸せでした。

アルゼンチン人の夫よりも私の方がラテン系な性格かも(笑)

―― ご主人様はアルゼンチンの方でいらっしゃるとのこと。出会いは留学中ですか?

 

ラウリア それが日本なんです。夫は日本企業がアルゼチンで工場を作る際の法務サポートを行い、その繋がりで日本へ来たんです。その頃、弟が家業を引き継いでくれたので、私は実家が持っていたイタリアンのレストランをやっていたのですが、ある時スペイン語で話しているグループがいらして、私がスペイン語で応対したら、そこにいた夫に「なんでスペイン語喋れるの?」って驚かれ、それから色々とスペインの話などでもりあがっていたら、突然「君は上智?それとも聖心?」と言われたんです。今度はこちらがびっくりして…上智はともかくどうして聖心と思ったのかと尋ねたら、なんと彼のお母様がアルゼンチンの聖心のご出身で…なんか似てる!雰囲気がそっくりって言われて…。その後結婚してお義母様にお会いしたときに「ああなるほどね」と私も思いました。偶然ですが、義母も義妹も一族の女性はほとんど聖心育ちの一家でした。夫によく言われるのですが、義母と私の共通点は「怖いもの知らずと英語の綴り」(笑)。筆跡がそっくりなんだそうです。世界中の聖心で、あの初等科時代にやらされたペンマンシップを使っているのでしょうね。

 

―― お話を伺っているとラウリアさんはいつも新しい環境を受け入れて、楽しめる才能がおありですね。その場その場で身に付けたものをまた次につなげていっていらっしゃる

 

ラウリア 実はベースがラテン系?(笑)。確かに私の方が夫よりラテン気質かも。夫は日本がとても好きで合っているようです。来日当初日本人っぽい人と出会いたくて講道館で柔道を始めたくらいですから。今でも通っています。柔道愛好家の外国の方も多くいらして、フランスでは6歳から柔道を習わせる家庭が少なくないそうです。そんな日本にいる外国人と一緒にいると少し違う日本が見えてくるのが面白いんです。いいところも悪いところも。

歴史ある同窓会であるがゆえに、世代や、4姉妹校、大学からの入学者との間にある温度差のバランスを取ることが大事

―― 宮代会会長はどのようなお仕事をなさるのですか?

 

ラウリア 宮代会は会長の補佐の副会長2名、総務・宮代祭・文化・福祉・財務に分かれた18名の理事がセクション毎に活動しています。私はそれぞれの報告を聞いて確認します。何か問題があると「ごめんなさい」と謝る役目です(笑)。

 課題だと思うことの一つは、みこころ会と違って宮代会は姉妹校から来た方たちと大学の4年間だけ通った方たちのミックスなんですよね。皆さんそれぞれの想いが違って、温度差が大きいんです。また、人数だけでいったら現在2万8千人いて、大きい組織なだけに色んな人たちの想いのバランスをとっていくのが一番大事かなって思います。例えば、お金をどうやって使うかも、色んな人の意見があります。宮代会に直接関わっている人たちで「大学にはお世話になっているから寄付しましょう」と話がまとまっても、他の方たちはそれすら知らないと「私のお金はどこ行っちゃったの?」と思う方も出てきます。そこらへんをどうやってバランスとっていくのかがすごく難しい。

同窓会としてのパワーをもっと活用できるように「きっかけ作り」を!

 ―― ラウリアさんが実感する同窓会のよさとは?

 

ラウリア この前すごく嬉しいことがあって、去年大学と宮代会が共催で61回生の卒業の集いをやったんです。61回生は東北大震災があった次の日が卒業式だったので、マリアンホールが使えず卒業式ができなかったんです。100人来ればいいかなぁと思っていたら、全部で243人もいらしたんですよ。みんな30歳にもなってガウン着るのは恥ずかしいなんて言いながらも嬉しそうでほんとに良かった。そうしたら、それをきっかけに宮代会の終身会費を払ってくださった方が10人以上いたんです。やっぱりそういうことがあると同窓会っていいなって思って下さったのだと思います。宮代会は、大学を卒業したら全員宮代会員です。会費を払ってくださいとは書いてありますが、実際に入金してくださる方70~80%くらい。でも、何かのきっかけで同窓会のよさを感じることがあればこうして戻ってきてくれる。

 

―― みこころネットワークは、まさにそういうきっかけを作りたくて始めたんです!

 

ラウリア 宮代会では卒業生に「会員になっていただければ、各業種の中でのネットワークに参加できます」ということを説明すると興味を持ってもらえるという感触があります。宮代会の会報にも載っていますが、『宮代法曹会』という同業種交流会があり、そこにはちゃんと連絡先のメールアドレスもあります。同業種のみならず、異業種でも「聖心」という共通項での繋がりがこれから増えていくといいと思います。同じ聖心で育った者として通じ合えることはとても多いので安心なんです。

 

―― 安心して通じ合える聖心の卒業生のよさとは?

 

ラウリア 同じような環境に生まれ、育ったということによる雰囲気の心地よさだけではなく、芯となる部分に共感を素直に持てるところです。例えば聖心の人にとってボランティアは身近なことで特別なことではない。できる人ができるときにやる。ボランティアに対する意思、感覚をきちんと持っているなど。だから他でボランティアに参加して交通費やお弁当が出るとびっくりする(笑)。国際社会ではNoblesse Obligeで持つ者は与える、返していくという考えがありますよね。フランスのノートルダム寺院が焼けたときに寄付をするなど。しかし巨額の寄付をしたことを公表して評価につなげることもあります。ヴィトングループが120億寄付したことに対してイエローベストが「そんなお金があるなら必要なところへまわせ」など色々な反応が出ました。奉仕の精神にも色々に視点がそろわないこともあり難しいものだと思いました。


インタビュー 小松宏子(63回)

記事協力 ボルメランジェ小林朱美子(66回)鈴木裕美子(70回)白井枝真(73回)
編集 永木素女(66回)